ネット対局:野狐囲碁
棋力:自分6段、相手6段
ルール:中国ルール
持ち時間:1分、秒読み1分3回の超早碁
棋譜解説
AIによると、この手が黒の最初の凡手(良く悪くもない)だった。
以前はよく打たれていたコスミだが最近ではあまり見ないかもしれない。
実戦は白6までで、なんとなく右下の黒の形が気持ち良くない。
順序を無視したとすると、黒3、5と形を決めた後に黒1のコスミを打っていることになるので、これはやはり良いとは言えないだろう。(もう一手打つのであれば白1子を抱えたり右辺にヒラキを打つのが安定)
右上の変化により右辺の価値が下がっているのも相まって、黒1のコスミがいまいち効力を発揮しずらく感じる。
また、右下の白1子からノビていく手が残っているので、重要な左辺と見合いになっている意味合いがある。
実戦では白6と上に伸びたが、右にノビる方が評価値が高いようだ。
この場合はツケが適切な一手だったよう。
AI想定図では黒3のヒキを示していたが、これは少し意外な感じ。
黒3では、白1子の左にツキアタリを打ったり右にハネを打ったりするのを昔はよく見かけた。
とはいえ、黒5のツケを利かした後に黒7と右辺に開くのはかなり立派な形ではある。
下辺の黒5の石から上に一間トビしたり、下に抑え込んだりする手を意識した打ち方にもなっているのだろう。
少し白が打ちやすそうにも見えるが、実戦の堅すぎるコスミがなく黒7と右辺に展開出来ているのが大きい。
ツケヒキ定石の後の変化として、白の3子とそこからヒラいた1子の間に打ち込んでいく手がある。
しかし、本局では様子が少し違っていたようだ。
本来であれば、打ち込んだ黒石から下がることで、右と左のワタリが見合いになって取られるような石ではない。
しかし、実戦では白がヒラいた1子からさらに一間トビをしてあったこともあり、黒の打ち込みに対して実戦のように白コスミを打たれると黒は左側への連絡がなくなっている。
超早碁ということで、それに気づいた時にはもう遅く、どうにか手にしようと強引に黒3と打ったのが完全にモチコミだった。
白12までで上辺の黒は攻め合い負けである。
実戦は早碁ということもありなんとかシノいだが本来ならここで潰れ。
ではどう打てば良かったのか。
上辺のウチコミとコスミの交換を利かしとみて、下辺の中央星一つ左にカタツキ打つのが良さそうだ。
上辺は黒から狙いが残されている。
図2-3の黒1ケイマである。
白2に対しては黒3とハネて黒5と切る。
一見無理筋な気もするが、黒13までで白1子を分断することが出来る。
上辺の黒4子が危ないと感じるかもしれないが、白もかなりダメが詰まっているためすぐに取りに行くような手はないだろう。
上手の変化が嫌な場合は、単純に黒3、5と右の黒と連絡するだけでも良い。
黒劣勢なものの、上辺が生きたことによりヨセ勝負になった。
しかし、実戦では左上の食い込みが痛すぎたので、黒1と打つべきだった。
黒11まででまだまだわからない碁である。
上辺の白がまだ生きていないので黒も油断出来ない。
実戦はこの後攻め合いになり最後は大石をとられる展開となった。