古道具屋に惹かれて購入
こんにちは!じゅんです。
本日は、先日購入した「古道具中野商店」(新潮文庫)を読みました。
著者は川上弘美さんです。
「古道具中野商店」は、古道具屋でバイトをしているヒトミが、バイト仲間のタケオに恋をしたり、店長の中野の不祥事を見ていく中で、好きとは何なのかということに悩み考えていく、心の成長を描いた作品。
文中では、古道具屋の仕事内容についてかなり細かく書かれているため、読んでいくごとに古道具屋への理解が深まり、とても楽しかったです。
「古道具中野商店」で印象に残った箇所
好きとはなにか
p.112
嫌いではない人は世の中にたくさんいて、その中でも「好き」に近い「嫌いではない人」がいくたりかいて、反対に「嫌い」に近い「嫌いではない人」もいくたりかいて、それではほんとうにわたしが好きな人はどのくらいいるのだろう
私も、好きという感情がどういったものなのか考えることがあります。
本能的に、相手と一緒にいたいと思うのが好きということなのか、もしくわ、利害関係が一致しているからこそ好きなのか。
世の中にはいろいろな好きの形があるため、これが正解で、これは不正解というのはないと思いますが、私の好きは本当に「好き」なのか、あなたの好きは本当に「好き」なのですかと感じることが今までありました。
「古道具中野商店」は、そういった「好き」について紳士に向き合って書かれているように思えます。
作中では、主人公のヒトミのタケオへの想いが二転三転します。
しかし、そういったところが「好き」という曖昧さをうまく表現しているように思うのです。
携帯は不便である
p.191
携帯なんか、嫌いだ、とわたしは思う。いったいぜんたい、誰がこんな不便なものを発明したのだろう。どんな場所どんな状況にあっても、かなりな高率で受けることのできる電話なんて
携帯は便利なものです。
しかし、便利すぎるものは得てして人を窮屈にさせます。
携帯に連絡すれば、出て当たり前、ラインを送ればすぐに返信がくるのが当たり前です。
この当たり前にとらわれてしまうことの不便さを、ここでは語っているように思います。
私は今、連絡手段はガラケーを使い、ネット検索用に契約を解除したiphoneを使用しています。
スマフォを使っていると、常に人と繋がっているようで苦しくなってしまったからです。
この生活を続けて一年になりますが、私にとっては縛られない今の生活が合っているのだなと思っています。
人間らしい生々しさが魅力
p.273
ほんとうはタケオはものすごく人に気をつかうんだっていうこと、わたし、知ってるのに。
タケオのこと、やっぱりきらいには、なれないよ。
主人公のヒトミは、タケオの行動1つで気持ちが変わっていきます。
読んでいるとそんなにコロコロ変わるの?と思ってしまうのですが、人間ってそういうものだよなとも思いました。
絶対なんてものはなくて、今日考えたことが、明日には全く逆のことを考えているなんてこともザラですよね。
「古道具中野商店」では、そういった人間の生々しさが忠実に再現されているように感じました。
こういった小説は今まであまり出会ったことがなかったので、とても新鮮気持ちになりました。
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